窓ガラスにヒビが・・・ えっ！冬に熱割れ！？
台風も来ていないのに、いつの間にか窓ガラスにヒビが入っていた経験はありませんか？その原因はもしかすると「熱割れ」かもしれません。熱割れとは、日射によってガラスが割れる現象のことです。台風は毎日来るわけではありませんが、太陽は毎日昇ります。雨天で日が差し込まない日もありますが、実は窓ガラスは台風などの風圧で割れることより、太陽光線（日射）で割れることの方がはるかに多いのです。
それでは、どのようにして熱割れは起こるのでしょうか。物質は「温度が高くなると体積が膨張し、温度が低くなると体積が収縮する」という物理的な性質を有しています。ガラスももちろんその性質に準じます。
冬場の夜間はガラスもサッシも冷えて温度がとても低くなりますが、朝、太陽が昇ってくるのと同時に窓に日が当たり、日の当たるガラスの中央部分は温度が高くなるので、体積が膨張して外に向けて広がろうとする力が働きます。しかし、サッシに埋まっているガラスの周辺部分は日が当たらないため温度が低く、収縮したままいようとする力が働きます。この周辺部は収縮したままでいようとする力が、中央部の膨張する力に引っ張られて耐えきれなくなると割れが発生します。この現象が、俗に言う「熱割れ」です。
上記のように、収縮する力よりも膨張する力が上回った時に割れてしまうので、同じガラスの中で著しい温度差が生じた場合に熱割れは起こります。ですので、どれだけガラス中央部の温度が上がりやすいか、周辺部との温度差が乗じやすいのかが熱割れを防ぐ大きなポイントになりますが、発生確率は窓の方角やガラスの種類、窓の周辺状況や日影の状態、ガラスの大きさなどによって左右されるので、完全になくすことは極めて難しい問題です。
特に、防火地区などに入っている網入りガラスについては、網をガラスの中に封入しているため熱割れの発生率は格段に上がります。従来の網入りガラスと比較すると熱割れが起こりにくい網が封入されていない防火ガラス（耐熱強化ガラス）もございますので、ぜひご検討ください。あわせて、施工状態が悪い場合はさらに熱割れが起こりやすくなってきますので、実績のあるガラス会社に相談することをおすすめします。
◯熱割れの特徴
・冬の寒い晴れた朝に発生しやすい。
（冬季は大気が澄んでいる日が多く、太陽高度も低いので日射量も大きくなり、尚且つサッシ周辺部の温度も低下しているので）
・コーナー部（角）からは割れず、ガラスの端部から直角に割れはじめ、それから蛇行している。
最後に、熱割れを防ぐための手軽な対策をご紹介します。まずは、ガラスの近くに物を置かないことがポイントです。家具や家電製品をガラスに密着させるように置くことは熱割れの原因となります。また、冷暖房の吹き出し空気が直接ガラスに当たる環境や、ガラス面にフィルムや紙などを貼ったり、塗料を塗ったりするなどの行為もガラスの中で温度差が生じやすくなりますので熱割れの原因となります。意外と当てはまるお宅は多いと思いますので、一度ご自宅の窓周りをチェックしてみることをおすすめします。